絶賛連載中の「男と女の更年期外来」。85歳の男性読者からメールが届きました。
<1年以上前から火照りや発汗があり、かりつけ医に更年期障害と言われました。超高齢者の更年期障害も取り上げてください>
女性の更年期は、女性ホルモンが急激に減少する閉経前後のおよそ10年間。かたや男性は、男性ホルモンといわれるテストステロンの減り方や時期、症状の出方に個人差が大きく、そのため、男性の更年期症状は30代以降、どの年代でも起こる可能性があります。60歳や70歳になってから不調を訴える男性もいます。
テストステロンは年齢を重ねるに従い、穏やかに減少していきます。高齢者で血液検査の遊離テストステロン値が低下しているからといって、すぐに男性更年期障害と診断できるわけではありません。
「疑い」を持ってテストステロンを増やす治療をした結果、今困っている症状の改善が見られれば、その時初めてテストステロン低下による更年期症状だと、はっきり診断できます。そのため80代でも男性更年期障害と診断されることがあります。
また女性の更年期障害の場合、閉経後5年ほどで症状が落ち着き、回復することがほとんどです。一方、男性の更年期障害には終わりがなく、時がたっても回復することは少ないといわれています。それゆえ、幾つになっても症状改善のための治療が必要です。「男性更年期医学の父」と呼ばれた札幌医科大の熊本悦明先生も、事故により94歳で亡くなるまでテストステロンの注射を続けていたそうです。
なお、男性更年期障害の診断や治療は通常、保険診療で行われますが、一定以上高齢になると、保険診療ができない場合があります。医療機関にお尋ね下さい。
ところで、「絶賛○○中」という表現は、本来「好評につき○○していますよ!」と消費者にアピールする商売上の宣伝文句。ところが最近では、「絶賛恋愛中」「絶賛肌荒れ中」など、「一生懸命やっている」「今その渦中にある」「○○の真っ最中」といった強調や自己アピールとして使われることが増えているそうです。
だからそんな使い方にあやかって、ただ1通のメールだけの反響しかなくても、「絶賛連載中」。そして泌尿器科は「絶賛男性更年期の診断・治療中」です。
(寄稿:2023/08/21付 西日本新聞朝刊)
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