プライベートゾーン
みなさんプライベートゾーンをご存じですか。
プライベートゾーンとは「自分だけの場所」という意味で、通常水着で隠すところ、男性では外性器とお尻、女性では外性器とお尻、それから胸の部分をいい、本人に許可なく見たり触ったりしてはいけないところ、誰彼なしに見せたり触らせたりしてはいけないところです。もちろん見せろとか触らせろと強制することもしてはいけません。
中高生がいじめを苦に自殺したという悲しいニュースが流れることがあります。以前の暴力的ないじめと違い、最近では、いやがる一人を複数で無理矢理トイレに連れて行き、ズボンとパンツを脱がせて下半身を携帯のカメラで撮影するとか、皆の前で射精させるとか、プライベートゾーンに関連した行為を行われることがあるようです。殴られたわけではありませんので、あざができたり怪我をすることがなく、被害の甚だしさに気づかれにくいかもしれません。しかし、自分だけの場所であるプライベートゾーンに対する行いは、その人の尊厳を踏みにじる行為です。イタズラ、悪ふざけ、いじめをはるかに超えた、心にナイフを突き刺すようなものです。そのような行為を受けた本人は、次第に心が苦しくなってきます。よいタイミングで助けがあればよいのですが、それがなければ、いよいよ死を選ばざるを得ない心理状況にまで追い詰められることがあります。
私の知り合いの息子さんは、高校で応援団に入部しました。そして、部活で頑張っている仲間を一所懸命応援して高校時代を過ごしました。大学に入学しても、やはり仲間を応援したいと応援部に入部したのですが、そこで待っていたのは、プライベートゾーンに対しての行為でした。応援団幹部が、1、2年の団員にズボンを降ろすことを命じ、下半身に熱湯や冷水を交互にかけて、それをビデオに撮影するというものです。あまりにもあきれた行為、愚かな行為です。された人はたまったものではありません。大学を止めてしまった人、自殺した人が出てしまったのです。暴行を認めた幹部は、「自殺の一因かもしれないが、すべてではない」と話しているそうです。もし大学生になってもプライベートゾーンについて無知だったとしたら、今まで何の勉強をしてきたのでしょうか。
プライベートゾーンを人から「見せろ」、「触らせろ」と言われたら「イヤだ」、「やめて」と言ってください。「見ろ」、「触れ」と言われたら「イヤだ」、「やめて」と言ってください。それでも強要してきたら、それは性暴力になります。
プライベートゾーン「自分だけの場所」は、自分自身で管理する場所です。みなさん、このことは必ず覚えておいてください。
なお、プライベートゾーンは恥ずかしい場所ではありません。普段人に見せるところではないので、見られたら恥ずかしいという感情が起こるのは普通の反応です。先輩と一緒にお風呂に入るとき、「男だろ、隠さず堂々と歩け」と言われることがあるかもしれません。けれども、それは一部の世界での理論です。公衆浴場などでは、タオルや手で陰部を隠して「失礼します」と入るのが礼儀です。
パーソナルスペースの理解
あなたが広い会場で行われている会議に行ったとします。親しい仲間がいれば、並んで席をとるでしょう。しかし親しい人が見当たらず、見知らぬ人ばかりなら、他の人との間に空間をつくり、離れて座るのではないでしょうか。もちろん混んでくれば仕方がありませんから、知らない人と隣り合って座ることになりますが、このときはちょっぴり緊張するはずです。
会議でこのような経験をするのはあなただけではありません。
人は恋人や仲間なら歓迎する距離であっても、よく知らない人が侵入してくると警戒感や嫌悪感を持つものなのです。誰しも見ず知らずの人に近づかれると不快になりますが、このような不快感が生じる空間をパーソナルスペースといいます。いわば心理的な縄張りです。
- 密接距離(0〜45cm):ごく親しい人に許される空間
- 個体距離(45〜120cm):相手の表情が読み取れる空間。友人などの距離、普通に離す距離
- 社会距離(1.2〜3.5m):相手に手は届きづらいが、容易に会話ができる空間。ビジネスに適した距離、公式な商談や面会の距離
- 公共距離(3.5〜7m以上):複数の相手が見渡せる空間。公衆の前で演説をするとき。個人的な関係は成立しにくい
密接距離の中に入るときは、相手の許可が必要です
一般的には女性と比較して男性の方がこの縄張り空間が広いとされています。例えば知らない男女が向かい合わせで立っている場合、男性は女性が自分のパーソナルスペースに入っていると感じて、相手の女性を意識しドキドキしても、女性は男性がパーソナルスペースの外にいるのでとくに意識も緊張しないといったことになり、男女間に感じ方の違いが出てきます。このような男女差から、いろいろな誤解が生じることがあります。
トイレを汚さない立ちションができる
「おしっこ」と叫んでトイレまで走って行き、トイレの前でズボンとパンツを脱ぎ捨ててトイレに入り、腰を前に突き出して排尿する。または洋式トイレに腰掛けて排尿する。幼児期にはよく見られる排尿光景です。トイレを外して尿が飛んだとしても、保護者の方が掃除してくれるでしょう。
家の中では問題にならなくても、幼稚園や小学校に通い始めれば、そうはいきません。
トイレに入り、チャックを下げてペニスを出し、ペニスを指でもって狙いを定めて排尿する立ちションができるように練習する必要があります。
通常思春期までは包茎です。尿道口を包皮が覆っていると尿が狙ったところに飛んでいきません。トイレを汚して大変です。また、排尿後、尿が包皮内に残っていれば、後でパンツに黄色いシミがついてしまい、格好悪いことになります。トイレを汚さず、パンツのシミを防ぐためには、包皮を指で根元の方に引き寄せて、尿道口が見えるようにして排尿しましょう。そうすれば問題なし、尿が便器からはずれる心配もなく、パンツのシミを防げます。
立ちションができず、洋式トイレに腰掛けて排尿することばかりだと、「1日に何回ウンチをするんだ」とからかわれ、段々学校に行きたくなくなってしまいます。
胸タッチやスカートめくりは性暴力
男子の性非行とは?
性非行とは、少年(20歳に満たない者)によってなされた性的暴力行為のことです。被害者の意志に反して、同意を得ずに、攻撃的、搾取的、脅迫的方法によって行われる、例えば、ペニスを膣に挿入する、体を触る、体や性器をこすりつける、服を脱がせる、フェラチオをさせる、性的なものを見せる、などの性的行動が性非行にあたります。
なお、同意のある性行為や妊娠・出産など、成人であれば問題にならない行動でも、少年が行えば「道徳的」、「慣習的」に非難されて「性非行」と呼ばれることがありますが、今回の性非行には、そのような場合は含みません。
性非行は衝動的なもので,思春期の一時的なものなのでは?
性非行は、思春期の心の変化(男性ホルモンの急激な増加に伴う性の芽生え)の対処がうまくできないために起こす衝動的な行動で、一時的なものであると言われることがあります。「子どものイタズラ」、「大人の男になるための性の試み」であり、大人になればやらなくなると言われることもあります。はたしてそうでしょうか。
成人の性犯罪者の50%は、少年の頃より性非行(性暴力)を始めていたという報告があります。また、性暴力を行う者を放っておけば、380人の被害者が出るといわれています。私が経験した窃視症の例では、中学生の頃に始めたのぞき見を25歳の現在まで続けていました。このように性非行は、決して一時的なものではなく、きわめて習慣性の高い性嗜好と考えられています。また、その多くは衝動的なものではなく、善悪の判断がついた上で、計画的に行われています。悪いことをうまくやり遂げたという達成感が加わって、より高い性的満足感が得られるようになり、止めることができなくなります。
性非行は、思春期の一時的なものだからと放っておいて良いというものではありません。
男子の「胸タッチ」や「スカートめくり」は,ただのイタズラ?
性暴力は、性的欲求から行われるものだけではありません。相手を支配したい、攻撃したいという気持ちから行われる場合もあります。たとえそれが、二次性徴が始まる前の、まだ身体的・性的に未熟な場合であって、自身の性欲を満足させるという性的意図がなくても、被害者が性的羞恥心を覚えるような行為は性暴力行為に当たります。「性的に成熟していないから性非行ではない」とするのは間違いです。
性的欲求、支配欲、攻撃欲を、性暴力を用いて、自己中心的に、即座に充足させるという経験を持つと、その手段を捨て去ることは極めて難しくなります。
*高校生・大学生の28.8%が過去に「ズボンやパンツを脱がされた」、「スカートめくりを受けた」
*そのうちの74.3%は、その行為を性的嫌がらせと感じて今でも苦しんでいる
「胸タッチ」や「スカートめくり」などの性的な部分を狙う行動は、ただのいたずらで済ませられない性非行です!
一時的なものだから、と誤った判断をして見過ごすのではなく、 やめさせる必要があります!!
思春期までに
- 相手のパーソナルスペース(あいだ=腕の長さの距離)に入るとき、許可を求める
- 握手して良い? 隣に座っても良い? ハグして良い? キスして良い? セックスして良い?
- 自分のパーソナルスペース(あいだ)に誰かが入ってくるとき(誘われる、体に触られる、車に乗せられる、性器を見せられる、知らない人に優しくされる・・・)
- 大声を出す、すぐ逃げる、知らせる、助けを求める、相談する
- 相手が嫌な気持ちになることをしない
- 他人のプライベートゾーン(かくすところ)を許可なく触らない、人前で自分のプライベートゾーンを触らない、相手の嫌がるものを無理に見せない、他人のあとをついて歩かない、他人をじっと見つめない
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