「母ちゃん,パンツがごわごわしとる」
「そーね,洗濯機に入れときなっせ」
「ばぁーか,そぎゃんこつば母ちゃんに言うな。自分で始末しとけ」
後で,母との会話を聞いていた兄から叱られました。初めての射精,精通を経験した朝の出来事,何の知識もなかった私のちょっと恥ずかしい思い出です。
思春期になると男性では精巣から分泌されるテストステロンという男性ホルモンが急増します。このテストステロンの働きかけによって男性性器(陰茎,精巣,前立腺,精嚢)が急速に発育し,多くは小学校高学年から中学の時期に最初の射精(精通)を経験します。私のように睡眠中であったり,映画などの性的な場面を見ているときに,ある日突然精通を迎えます。ときには,木に登るなどした際の外陰部への刺激をきっかけに起こることがありますが,そんなときにもし精通の知識がなければ何が起こったか分からず,しばらくは木にしがみついたままセミのようにじっとしていなければならないかもしれません。ただ,最近では最初からマスターベーションで精通という場合も増えてきているようです。
- 射精は汚らわしいものと思う男子 14.3%
- 射精は恥ずかしいと思う男子 19.5%
- 射精を大切なものと思わない男子 25.0%
- 射精を気持ち良いと思わない男子 33.3%
「精通が起こったりする」と小4で聞いてもちんぷんかんぷん。
精通が起こる頃には、その知識は忘れています。
大人の体への変化のひとつとして「精通」が起こること、男性の大切な生理であること、射精時に気持ちがよいと感じて良いことなどを思春期男子へ繰り返し話すことが必要です。
そういえば,精通を経験する少し前,小学生の一学期の終わりの頃でした。担任の先生が産休に入られたため,代わりに来られた女先生は大学卒業したてです。小学生の僕たちから見ても,とてもキレイな先生でした。その年の夏休み,「海の近くにある叔母さんの家に,一緒に行きましょう」と,その女先生から誘われて,僕は親友のH君と二人で先生との小旅行に出かけることになりました。天草の海はどこまでも碧く,一筋の水平線に向かう夕日は,砂浜に3人の長い影を映し出します。そんななかで「おなかすいたねぇ,夕食何だろう」と話しかける先生。胸がキューンと締め付けられるような,精巣がぎゅっと収縮してもちあがり股の奥が張ってくるような,そんな初めて経験する切ない感覚,その感覚がなぜ起こったのかの理由も分からぬなかで,ただつないだ先生の手だけはいつまでも離したくなかったことを覚えています。きっと,あれが春の目覚めだったのかもしれません。
実は小旅行は僕たちだけではなかったのです。先生の大学時代の男友達3人も一緒でした。何のことはない,僕たちはカムフラージュ要員だったのです。数週間後,そのうちの一人と私たちは殉教公園で待ち合わせ。「好きなんだけど 離れてるのさ 遠くで星をみるように 好きなんだけど だまってるのさ 大事な宝 かくすように 君は僕の心の星 君は僕の宝〜」と歌いながらやってきた先生のお友達,その後うまくいったのでしょうか。大人の恋を垣間見るのも,この時が初めてでした。
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