みなさんが必ず受けていた学校健診。目的は,児童生徒の健康増進を図り,病気の予防・早期発見のために行われています。
健康診断における検査項目
- 身長,体重(平成27年度より座高測定は廃止)
- 栄養状態
- 脊柱および胸郭の疾病および異常の有無
- 視力および聴力
- 眼の疾病および異常の有無
- 耳鼻咽頭疾患および皮膚疾患の有無
- 歯および口腔の疾病および異常の有無
- 結核の有無
- 心臓の疾病および異常の有無
- 尿
- 寄生虫卵の有無
- その他の疾病および異常の有無(胸囲および肺活量,背筋力,握力等の機能を検査の項目に加えることができる)
検査実施時期
小学校の全学年,中学校の全学年,高等学校および高等専門学校の第一学年,大学の第一学年
検査項目をご覧になればお分かりのように,その時々の体の状態は検査されていますが,男女二次性徴の発現・発達状態を把握するための項目はありません。実際の内科健診では,胸を出す際のシャツの挙げ方は生徒それぞれに任せられており,学校医も時間に追われるため,二次性徴の状態を示す体毛や乳房の観察は行われていないのが現状です。つまり,学校健診は,思春期の体の変化,子供の体から大人の体への成長状態を確認する検査にはなっていないのです。
みのDr
私が行った、クリニックに通院中の成人男性へのアンケート調査の質問と回答です
「いつまで保護者と風呂に入っていましたか?」
- 小学4年生まで 105名(74.5%)
- 小学6年生まで 27名(19.1%)
- 中学生まで 4名(2.8%)
- 高校生まで 5名(3.5%)
この結果から,男子の多く(93.6%)は思春期発来前よりひとりで入浴するようになっています。そうであれば保護者が子供の体の変化,二次性徴の状態を観察することはできません。
学校健診でチェックが入らなくても,女子の場合は学校での初経教育があり,月経に関する基本的な知識の学習機会があります。また,二次性徴の発現の有無や発達状態は,本人だけではなく周りの大人からも比較的正確に把握されているので,もし何らかの異常があれば,比較的早期に医療機関受診につながります。
一方男子では,基本的な思春期の知識を学習する機会はなく,その上学校健診や家庭でのチェックもない中,きちんと大人の体に成長しているかどうかという二次性徴の発達状態の善し悪しは,乏しい知識のなかでの個人の判断に任せられているのが実情です。
男子の二次性徴
- 基本的な思春期の知識を学習する機会がない
- 学校健診では、二次性徴の発達状態を確認されない
- 一人で入浴しているので、家族が子供の体の成長を確認できていない
まさに,男子の思春期はほったらかしの状態です
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