2024/05/20 思春期に「思春期までに・・・」を投稿いたしました

思春期の男女差

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思春期

 思春期は,二次性徴があらわれ,生殖可能となる時期のことです。つまり,子供の体から大人の体へ変化する時期で,おおよそ11〜12歳から16〜17歳の年齢に当たります。

 この頃から男子では,視床下部や下垂体という脳の部分より精巣(睾丸)の活性化を引き起こすホルモンが分泌されるようになります。そして,このホルモンの刺激によって精巣の働きが活発化し,精巣はテストステロンという男性ホルモンをたくさん分泌するようになります。女子も同じように,視床下部や下垂体から卵巣の活性化を引き起こすホルモンが分泌されるようになります。そして,このホルモンの刺激によって卵巣の働きが活発化し,卵巣は女性ホルモンの分泌を急増させます。この増加した性ホルモンの作用によって男女はそれぞれ大人の体へと変化していきます。 なお,一次性徴は性染色体に由来する内外性器の男女差のことで,二次性徴は性ホルモンの作用の差によって生じる男女それぞれの特徴のことです。

思春期

二次性徴があらわれ、生殖可能となる時期

子供の体から大人の体へ変化する時期

一次性徴

性染色体に由来する内外性器の男女差のこと(ペニスが有るか無いか、など)

二次性徴

性ホルモンの作用の差によって生じる男女それぞれの特徴

染色体

遺伝情報を担う生体物質で、そのなかの性決定に関与するものを性染色体という

女子の思春期

 女子の思春期は,「性機能の発現,すなわち乳房発育,陰毛発生などの二次性徴出現にはじまり,初経をへて二次性徴の完成と月経周期がほぼ順調になるまでの時期をいう」(日本産科婦人科学会)と定義されています(矢内原巧:序. 新女性医学大系18 思春期医学. 中山書店, 東京, 2000.)。

 女子二次性徴の特徴は,乳房の発育,逆三角形の陰毛発生,皮下脂肪の沈着,月経(生理)などで,思春期は通常,乳房発育,陰毛発生,初経という順序で進行していきます(細川久美子,小辻文和:第2次性徴. 新女性医学大系18思春期医学 38〜48,中山書店,東京,2000)。

女子の二次性徴の把握
  • 乳房の発育は服の上からでもおおよそ観察することができる
  • 初経教育があり,月経に関する基本的な知識の学習機会がある
  • 月経の有無は,母親が気にかける
  • プール授業を見学するなどから養護の先生も推測することができる
  • 学校によっては修学旅行前に月経の有無や月経周期のアンケート調査が行われる

 この時期の女子の二次性徴の発現の有無や発達状態は,本人だけではなく周りの大人からも比較的正確に把握されています。

 二次性徴の完成後は周期的に繰り返される月経により生殖生理機能の状態を本人自身で推測できます。もし,その周期や量,持続日数などに異常があれば,それらは体内の女性ホルモンのバランスの乱れを示す兆候として直接自覚することができるので,早期に医療機関を受診するきっかけになります。

 例えば,中学3年生の終わりまでに初経を迎えない場合,出血が2週間持続する場合,性行為がないのに月経が3か月来ない場合には,女性ホルモンに異常があるかもしれないので,婦人科に相談してください。とくに運動部で頑張っている人は要注意です。体脂肪率が20%を下回ると月経が止まります。この無月経をそのままにしておけば骨量が減少して疲労骨折の原因になります。疲労骨折は頑張りの勲章ではありません。

 男子に比べて女子の二次性徴が早く始まります。早ければ小学4年生頃より体の変化が現れます。乳房が発育したり,腋毛が生えてきたり。まだ子供の体の男子からすれば女子の体の変化に興味津々です。

反省

 キク科の一年草オナモミの実には多数の棘があり,いろいろなものにくっつきます。私の育った地方では“バカ”と呼んでいましたが,小学生の頃悪ガキはそれをポケットに忍ばせて,休み時間になると女子の髪の毛に向かって投げつけていました。投げられた女子は,髪の毛にくっついたバカを取り除くために両手を上に挙げなければならないので,悪ガキの目の前に腋が露出することになります。その時私は悪ガキに混じって,「うわぁ,あいつ毛が生えとる」と大声で囃したてて,女子が恥ずかしがるのを面白がっていたことを覚えています。また,休み時間のゴム跳び遊びで,走ったり,ジャンプするたびに揺れる乳房の膨らみを見て,「ボヨンボヨン」と叫んでは,とうとう女の子が泣き出してしまったこともありました。今考えれば,本当に馬鹿なことをしたなと女子に対して申し訳ない気持ちです。

 二次性徴の始まりと完成は非常に個人差が大きく,早く始まった人は,周りからからかわれて恥ずかしくなり,また,自分の体の変化に戸惑います。やがて周りが大人の体に変化していく中で,二次性徴の始まりが遅い人は,自分だけどうしたのだろうとだんだん不安になってきます

みのDr

思春期になると,男女それぞれの体がどのように変化していくのかを子供達に教えてあげることが必要です。そして,その変化の始まりと完成には個人差が大きいので,早い遅いで心配しなくてよいこと変化が早く始まった人を冷やかしたりからかったりしてはいけないことを教えてあげましょう

生理があるからといっていつまでも妊娠できる訳ではない

 月経は50歳前後の更年期まで繰り返されますが,月経があるからといっていつまでも妊娠できる訳ではありません。卵子は老化する,年齢が上がると妊娠しづらくなるといった話題がテレビ番組で取り上げられて反響を呼んでいるようです。

 芸能人が40歳を過ぎて妊娠出産したというニュースを見聞きすれば,40歳代でも妊娠できると思ってしまう人も多いのかもしれませんが,それは非常にラッキーな人です。その陰で妊娠したくてもなかなか妊娠できない同年代の女性がたくさんいることは知られていないようです。

 卵子の数は37歳頃から急速に減少します。そうなると妊娠しづらくなってしまいます。もし将来子供がほしいのであれば,35歳前後までに妊娠できる環境を作るように人生設計を考えてほしいと思います。環境作りは女性だけの問題ではなく,男性の協力も必要です。

みのDr

妊娠可能な年齢には限りがあることを男女とも共通の知識として知っておいてほしいと思います。

男子二次性徴の特徴

 男子二次性徴の特徴は,陰嚢・陰茎の発育,男性型陰毛の発生,筋肉の発達,精通,体毛の硬毛化などですが,女子との大きな違いは,その発現・発達の状態を把握することが困難なことです。

 「生理始まった?」とか,「今生理中です」などの会話がある女子と違い,男子が「昨日はじめて精液が出ました」と精通をだれかに報告することもなければ,「精液出るようになった?」,「何回出してる?」,「どのくらいの量が出る?」などと尋ねられることはありません。

 二次性徴の発現の有無や発達状態が,本人だけではなく周りの大人からも比較的正確に把握されている女子と比べれば,男子の場合は「どことなく変わったようだ」くらいの把握状態かもしれません。周囲からの適切なアドバイスを受けることもできず,いつの時代でも思春期男子は性に関する悩みが尽きないようです。

みのDr

男子の二次性徴の状態を本人も周りも気付きにくいことが、女子との大きな違いです。
このままで良いのかどうかの目安を知ることが必要です

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