性ホルモンは車ではオイルのようなもの。車を快適に動かすためにはオイルが欠かせません。オイルが減ったことに気付かず乗り続ければ車が故障を起こすのと同じように、性ホルモンが減少した状態が続けば身体に不調が起こります。
男性ホルモンの一つ「テストステロン」。男性では、ほとんどが精巣(睾丸(こうがん))で作られています。勃起や性欲、筋肉に関係するだけのホルモンと思われがちですが、それだけではありません。糖や脂質の代謝、内臓脂肪や血管の柔らかさの調整にも関係しています。
さらに、チャレンジ精神や競争心を与え、公共性を重視する気持ち、仲間を大切にする心を育てる働きがあり、社会の中で頑張る力を生み出します。だから、社会性ホルモンとも呼ばれています。
「ちょっと短気で怒りっぽいし、デリカシーもない、おまけにエッチだけれど、明るくて正義感が強い」と描かれる映画のヒーローも、テストステロンが満ちあふれているからこそのキャラクターです。
テストステロンは女性にも分泌されていますが、男性のテストステロン量は女性の約10倍。男はテストステロンで作られていると言っていいほどの大きな違いがあります。
例えば、年齢ごとに見るテレビ番組。米国でよく言われるジョークに、女性は「大人になるに伴いアニメ→映画→恋愛ドラマと変化する」、男性は「大人になっても同じドラゴンボールを見る」というものがあります。この男女差は、テストステロン量の差が影響しているかもしれません。
まあ、このくらいならごあいきょうですが、女性から見れば男性の意味不明な行動を「テストステロンのせい」と言い逃れしても、度が過ぎれば「男なんてシャボン玉」とあきれられてしまうのがオチ。ご用心ください。
それはさておき、男性にとって大切なテストステロン。思春期に急増し、その後は年齢ととも穏やかに減少します。そのため、ちょっとの無理があったとしても、なんとか頑張っていくことができます。
ただ、睡眠不足、バランスの悪い食事、運動不足などの不規則な生活が続いたり、仕事や家庭環境、人間関係などのストレスが長引いたりすれば、テストステロンは急に減少し、身体の不調を引き起こします。
(寄稿:2023/01/30付 西日本新聞朝刊)
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