2024/05/20 思春期に「思春期までに・・・」を投稿いたしました

昭和世代も我慢はほどほどに

 「更年期だとわかって、ホッとした」

体調不良を我慢して仕事を続けていたけれど、しだいにひどくなる症状に「ヤバい病気だったらどうしよう」と不安になったタレントのヒロミさん。病院通で健康情報に詳しい妻の松本伊代さんに相談したところ、「それ更年期じゃない?」とすぐに病院に連れて行かれたそうです。

 米国ボルチモアでの調査(2001)によると、男性ホルモンであるテストステロンの値が低くなっている男性の割合は、60代で20%、70代で30%、80代で50%。別の米国の調査(2006)では、45歳以上の男性の39%が低くなっていました。

もちろん、そのすべての人たちに症状があったわけではありませんが、テストステロン値が低下すれば心身に不調を来しやすくなります。診断を受けたヒロミさんが周りの男性に話すと、「俺もそんなことがあった」という人が多かったそうです。日本でも更年期症状に悩む男性は少なくないようです。

 男性更年期障害の診断には、テストステロンの一部である遊離テストステロンの血中の値を血液検査で測定します。1ミリリットル当たり8.5ピコグラム未満を「低下」、8.5ピコグラム以上11.8ピコグラム未満を「低下傾向」と判断し、症状の軽重と合わせて総合的に診断します。医療機関によっては、遊離テストステロンのことをフリーテストステロンと呼ぶこともあります。

 巨人の星の「たとえドブの中でも前のめりに死にたい」や、あしたのジョーの「なみだ橋を逆に渡っていこう」の言葉に感動しながら育った私を含めた“昭和世代”は、休まず頑張って働くのが普通と信じ、つらくても我慢する人が多くいます。

けれども誰でも疲れることがあり、誰にでも更年期症状が起こることがあります。我慢はほどほどに、つらいときは体調不良の原因を調べ、必要なら治療をすることが大切です。ヒロミさんは伊代さんの助言をきっかけに治療を受け、以前にも増して元気に活躍されています。

 なおテストステロン値は、夜明け前から午前中にかけて高く、午後から低下するという「日内変動」が見られます。そのため午前中に検査することが勧められています。検査をご希望の人は、できるだけ午前中の受診をお願いします。

(寄稿:2023/03/27付 西日本新聞朝刊)

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