皆さん、こんにちは。今月から「しもじもの話」を担当します。以前はkaHANSHIN(かはんしん)タイガース(福岡大産婦人科医局と泌尿器科医局の合同野球チーム)の5番センター、泌尿器科医の池田稔です。お察しの通り下半身のお話です。よろしくお願いします。
皆さんが思っている泌尿器科って、どんなイメージでしょうか。いろいろな場で診療科を尋ねられたとき、他の医師がテレビドラマを引き合いに「コード・ブルーの救命救急部です」「コウノドリの産婦人科です」「チーム・バチスタの心臓外科です」と答えると、相手の瞳はキラキラッとして「へぇーそうなんですね」と語尾が上がり調子。主役の回ってこない「泌尿器科」は「へぇーそうなんですか」と下がり調子の反応です。
一般的には「恥ずかしいし、できればかかりたくない科」と思われているようです。最近も近所の整形外科医から「“秘”尿器科・池田先生」という宛名で紹介状が来たぐらいですから、女性ならなおさら受診することを秘密にしたいくらいかもしれません。ところが女性医師に聞いたイメージ調査では、泌尿器科医は「微妙なところをサラッと診察してくれる。ノリが良くて下ネタ好きで、でも憎めない」身近な存在だそうです。
そんな泌尿器科医の私は、大学勤務時代は腎移植をはじめ、いろいろな手術を行いました。現在は熊本県合志市のクリニックで診療しており、以前とは違った相談を受けるようになりました。思春期は包茎や陰茎の悩み、青壮年は性欲がない、勃起が弱い、壮老年期になると男性更年期でやる気が出ないなどなど。泌尿器科は婦人科に対する「男性科」という役割もあるんですよ。
そうです。泌尿器科は皆さんが思っているほど恥ずかしいところではありません。男女の尿路と男性性器の疾患を担当する、とっても大切な診療科です。数日の便秘がへっちゃらな人でも、尿が半日出なければ大変です。おしっこのこと、男性が性のことで困ったら「そうだ、泌尿器科へ行こう」。
それではこれから、しもじもの話を余すことなくご紹介していきます。
(寄稿:2018/04/02付 西日本新聞朝刊)
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