「嗚呼(ああ)!!花の応援団」というギャグ漫画が好きだった高校時代。その延長で覚えたのが、ある旧制高校の寮歌に出てくる「酒は飲むべし百薬の長」。この言葉を頼りに365日、休肝日なしに晩酌しています。もちろん飲み始めたのは20歳を過ぎてからですけどね。
政府が提唱する「健康日本21」によると、適度な飲酒量は純アルコールで1日平均約20グラムです。酒の量(ミリリットル)×100分のアルコール度数×0・8(アルコールの比重)で計算。例えば、アルコール度数5%のビールロング缶1本(500ミリリットル)の純アルコール量が、500×100分の5×0・8=20グラムです。ただ女性はアルコール分解速度が遅く臓器障害を起こしやすいため、男性の3分の2程度が適当のようです。
飲酒とがんや高血圧、肝硬変との関わりはよく知られていますが、影響は他にもあります。女性が1日20グラム以上飲酒すると、それ未満の人と比べ妊娠率は0・64倍。飲酒量が多くなるほど妊娠率が低下します。だから妊娠を希望している女性は控えめに。妊娠中や授乳中は子どもに悪影響が出るので飲酒は禁物です。
一方の男性は、1日60グラム以上の飲酒で、精液の質と、男性ホルモンのテストステロンが低下するといわれています。それなら60グラムまでは大丈夫、と思った男性は早とちりです。
深酒は睡眠の質を悪くします。寝入りは良くなっても夜中に目が覚め、浅い眠りに。睡眠が7時間30分の男性はパートナーの妊娠率が最も高く、男性の睡眠が短くなるほど妊娠率が下がるとの調査結果があります。加えて睡眠が短いほど男性のテストステロンも低下。つまり睡眠に影響するほどの飲酒は駄目なのです。
朝までぐっすり眠れる適度な量のお酒を楽しみ、ストレス発散ができればテストステロンはアップします。女性と一緒ならなおさらです。そんな飲み方ならば酒は百薬の長です。
ところが私の晩酌量を計算すると1日40グラム。テストステロンはアップするかもしれませんが、それ以上は生活習慣病のリスクを高めるとされるぎりぎりの量です。百薬の長と言えそうにありません。少し控えめにします。
(寄稿:2020/03/30付 西日本新聞朝刊)
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