ある調査によると、外出先でトイレを使うとき、便座を拭く人が45%、拭かない人が34%、拭いたり拭かなかったりが21%。全く気にしない人もいれば、大勢が触れるので病気がうつらないかと心配になる人もいるようです。
お尻や太ももなどの健康な肌に便座の菌(細菌やウイルス)が触れたとしても、ほとんどの場合、感染することはありません。ただ直前に使用した人が便座や便器に菌を付着させ、運悪くそこに、次の人の引っかき傷のあるお尻が触れてしまうような偶然が重なれば、感染することがあります。特に男性は尿の出口が便器の内側に触れないよう注意が必要です。
一方、トイレットペーパーの使い方は、丸めて拭く人が20%、折り重ねて拭く人が80%。4枚重ねで使う人が多いそうです。尿は本来、無菌なので、ペーパーに染みて手に付いても心配はありません。ところが便中の菌はペーパーを容易に通過し、手に付着します。排便後に温水洗浄を行えば手に付く菌の数は1万分の1以下になるのですが、外出先では洗浄をしない人もいるようです。そのため手で触れる水洗レバーやドアノブに菌が広がってしまっています。
トイレで感染する病気の多くは、菌の付いた手で口元を触り、菌が体の中に入ることで起こります。病気の予防には、便座を拭くこと以上に、十分な手洗いが大切です。
子どもの頃からおなかが弱く、妹から「ゲーリー」と呼ばれていた私は、トイレには少し神経質です。外出時は必ず除菌ウエットティッシュを持ち歩き、便座やドアノブを4回拭いています。これで大部分の菌が取り除けます。そしてトイレを出たら、手洗いとアルコール消毒を心掛けています。
トイレットペーパーの三角折りは、きれいに清掃した証し。ですがトイレで用を足した人が三角折りや、今、話題のりぼん結びをすると、ペーパーが菌だらけになるだけ。余計なお世話です。
(寄稿:2019/05/13付 西日本新聞朝刊)
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