上弦の月だったっけ/ひさしぶりだね/月みるなんて
吉田拓郎の歌でも口ずさみながらの、酔いざましのそぞろ歩きが心地よい季節になりました。
そんなふうに気分良く帰宅して眠りに就いた後、夜中に尿意を催してトイレに行くと、「あれ? 出ない」。下腹部は尿で膨らみ、我慢できない尿意に冷や汗が出ます。秋から冬は、膀胱(ぼうこう)にたまった尿を突然出せなくなる「尿閉(にょうへい)」が起こりやすくなる季節です。
膀胱の出口に隣接して尿道を取り巻いている前立腺は、40歳代後半頃から大きくなり始めます。そうなると尿が出にくい、尿の勢いが弱い、といった症状が現れます。「まだまだ尿の出方は悪くはない」と思っている隠れ前立腺肥大症の人は、特にご用心。長時間座った後や、いつもより多めの飲酒、便秘、秋口の冷えなどがきっかけで尿閉が起こります。バス旅行の車内で飲酒し、旅先で…ってこともよくあります。風邪薬の内服が引き金になることもあります。
私の子どもの頃は、「草の神様どいてください」と唱え言をすれば、草むらへの立ちションは大目に見られていたので、思春期くらいまで友達と飛ばしっこをしていたものです。けれども最近では、そんな光景も見なくなりました。他の人がどのくらい飛ばしているのか気になりませんか。
大学生10人の飛距離を測定した医師によると、通常時の平均は62センチ。強く腹圧をかけると平均は84センチ、そのうち最長は120センチだったそうです。案外飛ばないものだなぁと思った人も多いかもしれません。私もこっそり測ってみると98センチ。ヤッホー! ですが、そんな姿を人には見せられません。
男性は公衆トイレの小便器で尿の飛び方を確認してみてください。便器の壁に尿を垂直に当てることができれば、それなりの飛距離が出ているということです。もし下の方にしか当たらないときは、隠れ肥大症かもしれません。
なお、女性も下腹部手術や子宮筋腫などの影響で尿閉になることがあります。尿の出方が心配なときは、恥ずかしがらずに泌尿器科で検査を受けてみてください。
(寄稿:2018/10/01付 西日本新聞朝刊)
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