さっきまではどうもなかったのに、排尿の終わりがけに痛みがあり、便器を見ると尿が真っ赤。トイレを出ようとすると、またしたくなって、でも尿は少ししか出ずに、同じ痛みがズキン。こんな状態になったらびっくり。どうしたんだろうと心配になります。
膀胱炎(ぼうこうえん)は急に発症します。女性に多いのは、男性と比べて尿道が短く、尿道口と肛門の距離が近いという体の構造の違いからです。何科を受診したらよいのかと迷う人がいるかもしれませんが、膀胱炎の診断治療は泌尿器科の十八番です。排尿痛と頻尿の症状があり、尿検査で炎症が見られれば、体に触れることなく膀胱炎と診断ができます。パンツを脱いでいただく必要はありません。
通常、3~5日間の飲み薬で治ります。ところが、「薬で症状が取れません」「前回はすぐに治ったのに今度はなかなか…」。時にこのようなことが起こります。
膀胱炎は膀胱に細菌が侵入して炎症を起こす病気です。膀胱炎と診断しても、細菌の種類によってどの薬が有効なのかが変わってきます。膀胱炎を引き起こす細菌の80%前後は大腸菌なので、まずそれに効く薬を5日間飲んでもらえば、ほとんどの人は治ってしまいます。
ただ、大腸菌以外の細菌や大腸菌でも薬が効きにくいタイプのものがいます。そこで、初診時には原因菌を調べる検査をして、そんな場合に備えています。その結果が出るのが5~7日後です。もし1回目の薬で治らなければ、次の受診時には、ちょうど菌の種類が分かっています。結果に合わせて薬を変更すれば、今度は完治するということになります。治らないからとすぐに病院を換えるのではなく、もう一度受診をお願いします。
夏は暑さと湿度で体力が低下し、また、汗をかけば尿量が減少します。膀胱炎を起こしやすい季節です。体調管理に気をつけて、十分な水分摂取をして尿量を増やし、予防しましょう。もし排尿痛が出て、内科かな、産婦人科かなと迷ったときには、どうぞ泌尿器科を思い出してください。
(寄稿:2018/07/23付 西日本新聞朝刊)
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