他人のスカートをめくり上げて、下着や下半身を露出させる「スカートめくり」。「ハレンチ学園」という漫画がヒットした1970年頃は「モーレツごっこ」と呼ばれ、当時の小学生の間で大流行しました。その後、下火になったとはいえ、今でも行われている学校があるようです。
警察庁科学警察研究所の1998年の調査によると、高校生・大学生の28・8%が過去に「ズボンやパンツを脱がされた」または「スカートめくりを受けた」体験があり、うち74・3%はその行為を性的嫌がらせと感じて苦しんでいます。それなのに、小学生のスカートめくりは「ただのいたずら」として見過ごされがちです。
男子が女子に行うスカートめくりや「胸タッチ」などの行為は、性的興味や性欲が理由とは限りません。相手を困らせたい、支配したい、攻撃したいという気持ちから行われる場合もあります。しかし、身体的・性的にまだ未熟で、自身の性欲を満足させる性的意図のない行為だとしても、被害者が性的羞恥心を覚えれば性暴力に当たります。
性暴力を用いて、性欲、支配欲、攻撃欲を自己中心的に即座に充足させるという経験を一度してしまうと、その手段を捨て去ることは非常に難しくなります。欲求を満たすための手っ取り早い方法として、繰り返してしまいます。だから、胸タッチやスカートめくりなどの性的な部分を狙う行動は、ただのいたずらで済ませられない問題なのです。一時的なものだから、と誤った判断をして見過ごすのではなく、やめさせる必要があります。
水着で隠す体の部分は、その人のとっても大切な所。「人に見せない、人前で触らない、他の人のを見ない・触らない」というルールを、大人は子どもが小さいときから繰り返し教え、徹底させてください。
ところで、こちらも70年頃のテレビCM。突風でミニスカートが舞い上がって、女優さんが思わず叫ぶ「オー!モーレツ」。こちらのモーレツは見てはいけない所が偶然見えてしまったラッキースケベ。じっと見つめず、チラ見程度はOKです。
(寄稿:2020/06/22付 西日本新聞朝刊)
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